店を閉めると決めたあと、多くの人が最初にする行動は「貸主か管理会社に伝えること」です。
これは、順番としては早すぎることがあります。
解約を伝えた瞬間から、予告期間のカウントが始まります。 そのあとで「居抜きで渡せるかもしれない」「機器が売れるかもしれない」と気づいても、残り時間で選べる道は減っています。
この記事では、閉店で関わる相談先を役割ごとに分け、どの順番で当たるのが現実的かを整理します。
相談先は5つに分かれます
| 相手 | 扱う領域 | いつ当たるか |
|---|---|---|
| 貸主・管理会社 | 解約、原状回復の範囲、居抜きの可否 | 意思が固まってから。ただし全体像を掴んだ後 |
| 不動産会社(店舗仲介) | 次の借り手探し、造作の譲渡先 | 早いほど選択肢が残る |
| 買取業者 | 厨房機器・什器・食器の価値 | 処分の手配をする前 |
| 税理士・会計の担当 | 廃業の届出、決算、資産の処理 | 早い段階で一報を入れておく |
| 弁護士・公的な相談窓口 | 借入・保証・従業員・契約上の争い | 不安がある時点で。後回しにしない |
この5つは、互いの仕事を代わりにやってくれません。 「不動産会社に言えば全部やってくれる」ということは無く、それぞれに、そこでしか出てこない情報があります。
順番には、理由があります
① 契約書を読む(相談ではなく、自分で)
すべての相談は、契約書の中身が分からないと空回りします。 見るのは3か所です。
- 解約予告の期間(多くは数か月前。ここが全体の時計になります) <span>要確認</span>
- 原状回復の範囲(スケルトンまで戻すのか、現状のままでよいのか)
- 居抜き・造作譲渡が認められているか(禁止されている契約もあります)
範囲の読み方は店舗の原状回復はどこまでか、予告期間と敷金の関係は解約予告と敷金にまとめています。
② 資産の値段を掴む(買取業者・不動産会社)
次に、手元に何が残っているかを金額として掴みます。
- 厨房機器・什器・食器がいくらになるか → 買取業者
- 居抜きで渡せる可能性があるか → 店舗を扱う不動産会社
この2つを掴んでから貸主と話すのと、掴まずに話すのとでは、交渉の中身が変わります。 居抜きで引き継ぐ相手がいる場合、原状回復工事そのものが不要になることがあるからです。 損得の比べ方は居抜きと原状回復のどちらが得か、業者の選び方は買取業者の選び方を参照してください。
ここで多いのが「まだ閉めると決まっていないのに相談していいのか」という迷いです。 査定も相談も、決める前だからこそ意味があります。 金額が分からないまま決めることのほうが危険です。
③ 貸主・管理会社に伝える
ここで初めて、時計を動かします。 伝えるときに一緒に確認するのは次の3点です。
1. 解約日と、明け渡し日はいつか(同じ日ではありません) 2. 原状回復をどこまで求めるか(書面でもらってください) 3. 居抜きでの引き継ぎに応じてもらえるか(相手が決まっている場合は、その旨も)
工事業者を貸主が指定する契約もあります。その場合の進め方は原状回復の業者指定にまとめています。
④ 届出と手続きを並行させる
保健所・消防・税務・社会保険・リース・公共料金・決済端末。数は多いですが、期限のあるものが混ざっています。 保健所・消防への届出は閉店時の保健所・消防への届出、税務まわりの流れは廃業の税務を参照してください。
従業員がいる場合は、この段階より前に伝える必要があります。 生活に直結するためです。
早いほうがいい相談も、ひとつだけあります
借入・保証・支払いの見通しに不安がある場合は、順番を待たないでください。
これだけは「早く相談すれば選べる道が多い」ことが、はっきりしています。 資金が尽きてからでは、取れる手段が限られます。公的な相談窓口があり、費用をかけずに話せる場所もあります <span>要確認</span>。詳しくは閉店にともなう借入金の相談先にまとめています。
「まだ大丈夫」と思っている段階が、いちばん選べます。
最初に貸主へ言う前に、確認しておく3点
- 契約書の解約予告期間を読んだか(言った日が起点になります)
- 機器と什器のおおよその価値を掴んだか(明け渡しと買取の順番)
- 居抜きの可能性を1社でも当たったか(居抜きの引き継ぎ先の探し方)
3つとも「まだ」なら、伝えるのは数日待って構いません。 逆に、資金繰りに不安がある場合は、この3点より先に相談窓口へ当たってください。
よくある質問
Q. 相談すると、閉めることが周りに知られませんか。 A. 買取業者・不動産会社ともに、閉店前の相談は日常的に扱っています。 秘密の扱いについて不安があれば、問い合わせの最初に「まだ公表していない」と伝えてください。 ネットの店舗情報をいつ閉じるかは閉店時のネット上の情報の畳み方にまとめています。
Q. 相談は無料ですか。 A. 買取の査定や、不動産会社への相談は無料としている先が多い領域です <span>要確認</span>。一方、税理士・弁護士への依頼は費用が発生します。 公的な無料相談の枠が用意されていることもあります。
Q. 何社くらいに当たればいいですか。 A. 買取は2〜3社。 1社だけだと、金額が高いのか安いのか判断できません。不動産会社は、その地域の店舗物件を扱っている会社を選んでください。
Q. 閉店を決める前でも相談していいのですか。 A. むしろその段階が本来のタイミングです。 続けるか閉めるかの判断材料として、資産の価値と、閉めるのにかかる費用の両方が要ります。判断そのものの整理は休業と閉店の違いも参考にしてください。
Q. 全部まとめて任せられる相手はいませんか。 A. すべてを1社で完結させる形は、現実には多くありません。 ただし、買取・撤去・原状回復までを窓口ひとつで手配できる場合はあります。 その場合も、契約・税務・従業員の話は別の専門家の領域として残ります。
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本記事は、飲食店の閉店にともなう相談先と進め方について、一般的な考え方を整理したものです(確認日:2026-08-25)。解約予告の期間、原状回復の範囲、居抜きの可否は賃貸借契約の内容によって異なります <span>要確認</span>。各種届出の期限と要否は、業態および所在地の行政窓口によって異なります。 税務・法務に関する具体的な判断は、契約書の内容を確認のうえ、税理士・弁護士等の専門家および所管の窓口にご確認ください。

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