厨房機器の買取を頼むと、最初に返ってくるのはたいてい質問です。「メーカーと型番は分かりますか」「製造年は」「電源は単相ですか三相ですか」——。
この質問に答えられるかどうかで、査定の金額と、返事の速さが変わります。情報が足りないと、業者は安全側に見積もるからです。分からない部分は、必ず低いほうに寄せて計算されます。
この記事では、査定を頼む前にこちらで用意しておくと得になる5つの情報を整理します。
なぜ、こちらが情報を出すと金額が上がるのか
買取業者は、引き取った機械を次の誰かに売ります。その売り先が決まりやすい機械ほど、高く買えます。
売り先が決まるために必要なのは、次の3つです。
- 何という機械か(メーカー・型番)
- いつのものか(製造年)
- どこで使えるか(電源・ガス種・寸法)
この3つが不明なままだと、業者は「引き取ってから調べる」前提で見積もります。調べる手間と、売れなかったときのリスクが金額に乗ります。逆に、こちらから出せば、その分が乗りません。
査定が下がる要因そのものは厨房機器の査定額を下げる要因で整理しています。この記事は、その手前の「情報の出し方」の話です。
① 銘板(メーカー・型番・製造年)
厨房機器には、ほぼ必ず金属や樹脂のプレートが付いています。そこにメーカー名・型式・製造番号・製造年月が書かれています。
貼ってある場所は、機械の種類でだいたい決まっています。
| 機器 | 銘板がある場所 |
|---|---|
| 冷蔵庫・冷凍庫 | 扉の内側、背面、機械室(下部)のカバー付近 |
| 製氷機 | 前面パネルを外した内側、側面、背面 |
| コンロ・レンジ | 天板の下、側面、背面下部 |
| フライヤー | 側面、背面、操作パネルの裏 |
| 食器洗浄機 | 扉の内側、側面、背面 |
| 冷蔵ショーケース | 内側の側面、背面 |
製造年が書かれていない場合は、製造番号を控えてください。メーカー側で年式が分かることがあります。
銘板は油とホコリで読めなくなっていることが多いです。その場で拭いてから撮ってください。「読めなかったので不明」で出すのと、拭いて読むのとでは、結果が変わります。
② 電源とガスの種類
ここを取り違えると、話が最初からやり直しになります。
- 電気——単相100V/単相200V/三相200V(動力)のどれか。三相かどうかは特に重要です。移設先に三相が来ていなければ、その機械は使えません
- ガス——都市ガス(13Aなど)/プロパン(LPG)のどちらか。この2つは互換ではありません
銘板に書かれていることが多いので、①と同時に控えられます。分からない場合は「不明」と正直に伝えてください。推測で伝えると、引き取り当日に食い違いが出ます。
③ 写真(撮り方で伝わる情報が変わる)
写真は枚数より種類です。1台につき、次の4枚あれば十分です。
1. 全体(正面)——機械の全景。周囲が写っていてかまいません 2. 銘板のアップ——文字がはっきり読める距離で。斜めではなくまっすぐ 3. 扉を開けた内部——庫内の状態、棚、パッキンの様子 4. 設置場所のまわり——通路と出口が写るように(これが④につながります)
やってはいけないのは、暗い店内でフラッシュだけで撮ることです。反射して銘板が読めません。照明を点けて、スマホのライトは銘板から少し離して当ててください。
④ 搬出の条件
買取金額を実質的に決めるのは、機械の値打ちだけではありません。「出せるかどうか」です。
厨房機器は重く、大きい。出せない機械は、値段が付いていても引き取れません。次を先に伝えてください。
- 階数とエレベーターの有無(エレベーターがある場合は扉の内寸)
- 建物の入口から厨房までの通路幅、途中の曲がり
- トラックを停められる場所(前面道路の幅、駐車できる時間帯)
- 搬出できる時間帯(テナントビルは搬出時間が決まっていることがあります)
- エアコンや造作に埋まっていないか(造作と一体になっている機器は、外す工事が別に要ります)
「入るときに入ったのだから、出せる」とは限りません。内装を作ったあとに搬入した機械や、建物の改修で通路が変わっている場合があります。搬出経路の考え方は厨房機器の搬出経路をどう確保するかにまとめています。
⑤ 所有関係(自分のものかどうか)
これがいちばん見落とされます。
- リース中の機器——所有権はリース会社にあります。勝手に売却できません(閉店時のリース機器はどうなるか)
- 貸主の造作——物件に最初から付いていた設備は、こちらのものではないことがあります
- 前の借主から引き継いだ造作——譲渡の契約内容によります(居抜きの造作譲渡)
契約書を先に確認してください。査定を進めたあとで「これは売れないものでした」となると、全体の段取りが崩れます。契約書のどこを読むかは店舗の賃貸借契約書はどこを読むかにまとめています。
査定の前にやってはいけないこと
よかれと思ってやったことが、金額を下げることがあります。
- 分解して掃除する——元に戻せなくなります。部品が欠けると評価が落ちます。拭くのはよいですが、外すのは避けてください
- 電源を落として長期間放置する——冷蔵・冷凍機器は、動作確認ができないと評価が下がります。査定日まで通電しておけるなら、しておいてください
- 先に一部だけ捨てる——まとめて出したほうが有利なことがあります。単体では引き取り対象外でも、他と一緒なら引き取られる機器があります
- 複数社に別々の条件で聞く——同じ情報を渡さないと、金額を比べられません。①〜④をまとめた1枚を作って、同じものを渡してください
情報をまとめる1枚のつくり方
エクセルでも、手書きでもかまいません。1台1行で次を並べるだけです。
| 機器 | メーカー | 型番 | 製造年 | 電源/ガス | 状態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 縦型冷蔵庫 | (銘板から) | (銘板から) | (銘板から) | 単相100V | 稼働中 | 厨房奥・エレベーターなし |
この1枚があると、電話1本で概算が返ってくることがあります。現地を見ないと確定はしませんが、見に来る前に方向性が決まるのは大きい。
買取全体の流れは厨房機器の買取はどう進むのか、業者の選び方は買取業者の選び方にまとめています。
よくある質問
Q. 銘板が見つかりません。 A. 機械の背面と下部を確認してください。壁付けで見えない場合は、無理に動かさず「銘板が確認できない」と伝えたうえで、全体写真を送ってください。外観から機種が推定できることがあります。
Q. 古い機械でも値段は付きますか。 A. 年式は評価に影響しますが、機種と状態によります。動作するかどうかのほうが効くことがあります。「古いから」と自己判断で捨てないでください。捨てると処分費がかかり、売れれば逆になります(閉店で売れるもの・売れないもの)。
Q. 動かない機械はどうすればいいですか。 A. 動かないことを先に伝えてください。伝えずに現地で発覚すると、その場で条件が変わります。動かない機械にも、部品取りとしての引き取り先がある場合があります。
Q. 査定はいつ頼めばいいですか。 A. 明け渡し日から逆算してください。原状回復工事の前に搬出を終える必要があるため、直前になるほど選べる業者が減ります(明け渡しと買取の順番)。
—
本記事は一般的な考え方の整理です。買取の可否・金額・引き取り条件は、機器の状態と各社の在庫状況によって異なります。実際の条件は各買取業者にご確認ください。

コメント