業務用食器洗浄機は、閉店のときだけ扱いが違います|「自分の物かどうか」を最初に確かめる

厨房機器の整理は、たいてい大きいものから順に片づきます。冷蔵庫、製氷機、コールドテーブル。査定を呼べば値が付くかどうかがその場で分かります。

ところが食器洗浄機のところで、話が一度止まります。

業者に「これは対象外です」と言われる。あるいは「契約先に連絡してください」と返される。冷蔵庫と同じ感覚で進めていると、ここで初めてこの機械だけ立場が違うことに気づきます。

理由ははっきりしています。業務用の食器洗浄機は、店の所有物ではないことがかなりあるからです。

まず確かめるのは、状態ではなく所有です

他の厨房機器なら、最初に見るのは年式と稼働状況です。食器洗浄機は順番が違います。誰の物かが先です。

店に入っている業務用食洗機は、だいたい次のどれかです。

形何が起きるか
買い取って自分の資産にしている他の厨房機器と同じ。売る/譲る/処分するを自分で決められる
リース契約中残債・返却義務が残る。勝手に処分すると契約違反になります
洗剤メーカー等からの貸与洗剤を継続購入する条件で機械を借りている形。解約時は返却が原則
前の借主が置いていったもの造作扱いか残置物か、賃貸借契約書と引き継ぎの書面で決まります

この4つは、見た目では区別できません。 同じメーカーの同じ型が、店によって資産だったり貸与品だったりします。

確かめる場所は3つです。①リース契約書 ②洗剤・薬剤の取引明細(毎月の請求に機械の使用料が紛れていることがあります)③開業時に店を引き継いだときの造作の目録。 ここで所有がはっきりするまで、買取の査定も処分の見積もりも意味を持ちません。

注意: 貸与やリースの条件は契約ごとに異なります。残債・返却期限・返却時の原状回復の扱いは、必ず契約書の原本で確認してください。 口頭の記憶で進めると、明け渡し後に請求が残ります。

リース中の機器全般の扱いは閉店するときリース中の厨房機器はどうなる?残債・返却・違約金の実務にまとめています。

自分の物だったとしても、値が付きにくい機械です

所有がはっきりして「売れる」となっても、食器洗浄機は冷蔵庫や製氷機ほど素直に値が付きません。 中古で欲しがる人が少ないわけではなく、次の店に据えるまでの手間が大きいためです。

  • 給湯の仕組みが店ごとに違う。 ブースター(昇温器)やガス給湯と組んで使っている場合、機械だけ移しても成立しません
  • 電源が三相200Vのことがある。 次の物件に同じ電源が来ていなければ、引き取っても使えません
  • 給排水の接続が要る。 置けば動く機械ではなく、設置工事とセットです
  • 専用洗剤の供給とひも付いていることがある。 機械が動いても、薬剤の契約が続かなければ使い勝手が変わります

つまり「動く・きれい」でも、買い手側の条件が合わないと引き取り先が決まらない種類の機器です。査定で対象外と言われたときは、状態を疑う前にこの4つのどれかで止まっていないかを聞いてみてください。

値が付くもの・付かないものの分け方そのものは閉店するとき、何が売れて何が売れないのかで整理しています。

外すときに費用が乗るのは、この3か所です

撤去費用は「機械の大きさ」では決まりません。接続を外す作業のほうにかかります。

  1. 給排水の切り離しと止水。 排水はグリストラップや床の配管につながっていることが多く、外した口をふさぐところまでが作業です
  2. 電気の切り離し。 壁や分電盤から直接配線している(コンセントに差していない)機種は、外したあとに残った配線の口を処理する作業が要ります。ここは電気工事士の仕事です(機器の端子のねじ止めやコードの差込み接続そのものは、電気工事士法施行令第1条の「軽微な工事」)。プラグを抜くだけで外せる機種かどうかを、下見のときに確かめてもらってください
  3. 天板・シンクとの一体化。 アンダーカウンター型は、作業台やシンクと一枚の天板でつながっていることがあります。 ここを切り離すと、隣のシンクまで撤去対象になります

3つ目が、見積もりで想定外に膨らむ典型です。「食洗機1台」のつもりが「洗い場一式」になる。 下見のときに、天板がどこで切れているかを一緒に見てもらってください。

撤去費用の読み方は厨房機器の処分費用は、機器の値段では決まりません、運び出せるかどうかは厨房機器は「売れるか」より先に「出せるか」が参考になります。

「置いていく」は、選べるときと選べないときがあります

外す費用がかかると分かると、そのまま置いていきたくなります。 ここも所有で分かれます。

  • リース・貸与品は置いていけません。 返却義務があるので、置き去りにすると残債と撤去費の両方を請求されることがあります
  • 自分の資産なら、置いていける可能性はあります。 ただし貸主が「造作として残していい」と認めた場合に限ります。 認められなければ残置物となり、貸主側が手配した撤去費が敷金・保証金から引かれます

判断の分かれ目は、次に入る店が居抜きで使うかどうかです。使い手が決まっていれば造作として残せる話になり、決まっていなければ「原状回復して返す」に戻ります。貸主・仲介に確認するのは、撤去を発注する前です。 発注してからでは選べません。

決める順番

食器洗浄機だけは、他の機器と同じ列に並べず、先に所有を片づけてから列に戻します。

  1. 契約書で所有を確定する(リース/貸与/自己資産/前借主の造作)
  2. リース・貸与なら契約先に連絡し、返却の段取りと期限を押さえる
  3. 自己資産なら、買取の査定を受ける(給湯・電源・接続の条件を先に伝えると話が早い)
  4. 引き取り先が決まらなければ、撤去・処分の見積もりを取る(天板の切れ目を一緒に見てもらう)
  5. 置いていけるかどうかを貸主・仲介に確認する
  6. 確定してから、原状回復の見積もりを取り直す

6番が最後なのには理由があります。食洗機を残すか外すかで、洗い場まわりの原状回復の範囲が変わるためです。 先に工事を発注すると、外す前提の金額で確定します。

機器全体の出口の整理は厨房機器の処分方法は4つしかないを、冷蔵・製氷まわりの手続きは業務用の冷蔵庫・製氷機は、捨てる前にフロンの回収が要りますをあわせてご覧ください。

まとめ

  • 業務用食器洗浄機は、自分の物とは限りません。 リース・洗剤メーカーからの貸与・前借主の造作という形があり、見た目では区別できません
  • 所有が確定するまで、査定も処分の見積もりも先に進めないでください
  • 値が付きにくいのは状態のせいではなく、給湯・電源・設置工事・専用洗剤という次の店側の条件のためです
  • 撤去費が膨らむのは、天板がシンクや作業台とつながっているときです
  • 置いていけるかどうかは、貸主の同意と、次に入る店が使うかどうかで決まります

契約書の読み方や見積もりの比べ方に迷うときは、契約先・貸主・仲介、そして複数の買取業者や専門業者に、同じ条件で確認してください。 条件を揃えて聞き直すだけで、金額の差が読めるようになります。

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