「厨房機器の処分費用はいくらか」を調べると、幅のある金額ばかりが出てきて、自分の店がどこに当てはまるのか分からない。閉店を決めた方から、いちばんよく届く困りごとです。
理由ははっきりしています。処分費用は、機器そのもので決まっていないからです。
同じ2ドアの冷蔵庫でも、1階の路面店で、店の前にトラックを着けられるなら安く、地下や2階で、階段しか使えず、道路に停める許可も要るなら何倍にもなります。機種は同じでも、費用を作っているのは機械ではなく、「どこから、どうやって出すか」のほうです。
この記事では、処分費用を5つの要素に割ります。割れると、届いた見積もりのどこが高いのかが分かり、他社と比べられるようになります。
⚠️ 具体的な金額は書きません。地域・時期・業者・現場の条件で大きく変わり、ここで挙げた数字がそのまま使われると、判断を誤らせるためです。金額は必ず実際の見積もりで確かめてください。
処分費用を作っている5つの要素
| 要素 | 何で決まるか | 自分で確かめられるか |
|---|---|---|
| ① 運搬 | トラックの台数と大きさ、往復の回数、現場までの距離 | 機器の数と大きさから、おおよそ見当がつく |
| ② 人手 | 作業する人数 × 日数。重量物や分解が必要な機器で増える | 重い機器がいくつあるかで見当がつく |
| ③ 経路と階数 | 階段か、エレベーターか。通路の幅、扉の寸法、駐車の可否 | 現地で測れる。ここがいちばん差が出る |
| ④ 処分 | 産業廃棄物としての処理。品目・重量で単価が変わる | 重量は分かりにくい。業者の説明で確かめる |
| ⑤ 特別な手続き | フロンの回収、設備の取り外し、廃液・グリスの処理など | 該当する機器があるかどうかで判断できる |
見積もりが「一式」でしか書かれていないときは、この5つに割ってもらってください。 割れない見積もりは、他社と比べることができません。
③ の経路が、いちばん金額を動かす
①②④は機器の数と種類でだいたい決まりますが、③だけは店ごとに条件が違い、しかも事前に分かるのに見落とされます。
- 階段のみか、エレベーターがあるか(エレベーターの扉の寸法と積載も見る)
- 通路と扉の幅。入るときはバラして運び込んだ機器が、出すときもバラせるとは限りません
- トラックを停められる場所と時間。停められないと、台車で運ぶ距離が伸びます
- 共用部の養生の指定。ビルによっては養生の範囲や作業時間が決められています
ここで止まると、費用が上がるだけでなく買取そのものが成立しなくなることがあります。詳しくは 厨房機器は「売れるか」より先に「出せるか」|搬出経路で買取が止まる5つの典型と、撤去当日の段取り にまとめました。
④ は「事業から出たごみ」になる
閉店した店から出る厨房機器は、家庭ごみや粗大ごみとしては出せません。 事業活動から出た廃棄物として扱われ、許可のある業者に委託する形になります。この扱いと、依頼前に確かめる許可・書類については 東京で厨房機器を処分するとき、まず何が引っかかるのか|家庭ごみに出せない理由と、依頼前に確かめる3つ を参照してください。
⑤ に当てはまる機器は、先に数える
処分費に上乗せされやすいのが、手続きが決まっている機器です。
- 冷蔵庫・冷凍庫・製氷機・エアコン……冷媒(フロン類)の回収が必要になります。業務用の冷蔵庫・製氷機は、捨てる前にフロンの回収が要ります|処分費に乗る理由と、残す書類
- ガス機器……接続の切り離しが要ります。自分で外さないでください
- フライヤー……油が残っていると扱いが変わります。抜いておけるかを業者に聞く
- シンク・作業台・フード・ダクト……固定されているものは「取り外し」が別項目になります
この5つに当てはまる機器を先に数えておくと、見積もりの差額の説明がつきます。
「処分費用がいくらか」より先に出すべき数字
処分費用だけを見ていると、判断を誤ります。閉店の現場で本当に効くのは手残りです。
手残り = 買取額 − 処分費 − 撤去・取り外し費
処分費が高い見積もりでも、売れる機器をきちんと買い取ってくれるなら手残りは大きくなります。 逆に「処分費が安い」だけの見積もりが、売れるはずの機器をまとめて廃棄に回していることもあります。
1枚で比べるやり方は 買取と処分の見積もりを1枚で比べる|「買取額 − 処分費」で手残りを出す に書きました。どれが売れてどれが処分に回るのかは 閉店するとき、何が売れて何が売れないのか|値段が付くもの/処分費がかかるものの分け方 が目安になります。
費用が跳ねる条件(ほぼ全部、事前に分かります)
| 条件 | 何が起きるか | 先にできること |
|---|---|---|
| 明け渡しまで日数が無い | 人手を増やして一気に出すことになる | 日程を先に押さえる |
| 階段のみ・通路が狭い | 人数と時間が増える | 寸法を測って伝える |
| トラックを停められない | 運ぶ距離が伸びる | 停車できる場所と時間帯を確認する |
| 電源・水・ガスを先に止めた | 動作確認ができず、売れるはずの機器が処分に回る | 買取の査定が終わるまで止めない |
| 原状回復を先に発注した | 売れる機器が工事でまとめて撤去される | 買取を先に入れる |
| 機器が汚れたまま | 査定額が下がり、処分側に回りやすい | 落とせる汚れは落としておく |
下から2つ目が、いちばん取り返しのつかない失敗です。順番については 明け渡しまでに、買取をどの順番で入れるか|先に原状回復を頼むと、売れるものが消えます に整理しています。
見積もりを依頼する前に、そろえておく情報
同じ店でも、渡す情報の量で見積もりの精度が変わります。 最低限そろえたいのは次の5つです。
- 機器の一覧(メーカー・型番・台数。型番は本体側面や背面の銘板に書かれています)
- 階数と搬出経路(階段/エレベーター、通路と扉の幅)
- トラックを停められる場所と、作業できる時間帯
- 明け渡し日
- 電気・ガス・水道をいつ止めるか
査定側が何を見ているかは 厨房機器の査定を頼む前に、自分で用意しておく5つの情報|同じ機械でも金額が変わる理由 に書きました。売れなかった機器の出口の選び方は 厨房機器の処分方法は4つしかない|売れなかった機器の出口と、処分費を最小にする順番 を参照してください。
よくある質問
Q. 厨房機器の処分費用の相場はいくらですか。
一言で言える相場はありません。 同じ機器でも、階数・搬出経路・トラックを停められるか・処分する重量で大きく変わるためです。相場を探すより、見積もりを「運搬・人手・経路・処分・特別な手続き」の5つに割ってもらい、2社以上で同じ形に並べて比べるほうが確実です。
Q. 処分費用を安くする方法はありますか。
いくつかあります。売れる機器を先に買取に回す/電気・ガス・水道を査定前に止めない/明け渡し日から逆算して日程に余裕を持つ/落とせる汚れを落としておく/搬出経路の寸法を先に伝える。 どれも当日ではなく、依頼する前にしかできません。
Q. 買い取ってもらえれば、処分費用はゼロになりますか。
なるとは限りません。売れる機器と売れない機器が混ざっているのが普通で、売れないものの処分費は残ります。買取額のほうが大きければ手残りがプラスになることもありますが、店の構成によります。
Q. 冷蔵庫やエアコンは、自分で外して処分できますか。
冷媒(フロン類)が入っている機器は、回収の手続きが決まっています。 自分で取り外さず、業者に依頼してください。ガス機器の切り離しも同じです。
Q. 見積もりが「一式」としか書かれていません。
割ってもらってください。 5つの要素に割れない見積もりは、他社と比べられません。割った結果を並べると、どの項目で差がついているのかが見えます。
Q. 原状回復の工事と、どちらを先に頼むべきですか。
買取が先です。 原状回復を先に発注すると、売れる機器も工事でまとめて撤去され、手元に残る金額が減ります。
厨房機器・客席什器・食器・空調・看板の買取と処分をまとめて相談したい場合は、飲食店の閉店・廃業時の備品一括買取サービス をご覧ください。
本記事は、閉店時に出る厨房機器の処分費用の考え方を一般的な観点から整理したものです(確認日:2026-09-18)。費用の金額、廃棄物の区分、フロン類の回収や取り外しに関する手続きは、地域・時期・依頼先・現場の条件によって異なります。実際に進めるにあたっては、依頼先の業者および所管の窓口の案内をご確認ください。
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