閉店の作業でいちばん多い誤解が、「厨房機器も粗大ごみで出せるだろう」というものです。
出せません。 東京でもそれ以外の地域でも同じで、理由は物の大きさではなく、「事業から出たものかどうか」にあります。ここを知らずに片付けを始めると、明け渡し直前に搬出だけが残って日程が崩れます。
この記事では、東京で厨房機器を処分するときに実際に引っかかる点と、業者に依頼する前に確かめておくべきことを整理します。
なぜ粗大ごみで出せないのか
自治体の家庭ごみ・粗大ごみの収集は、家庭から出るごみを対象にした仕組みです。
店舗の営業に使っていた機器は、事業活動に伴って生じた廃棄物として扱われます。飲食店の厨房機器の多くは金属くずや廃プラスチック類にあたり、産業廃棄物として処理する必要があります<span>(品目ごとの区分は自治体・処理業者に確認してください)</span>。
つまり、無料や数百円で回収してもらえる経路が、そもそも用意されていません。
「店舗の設備なのに、家庭ごみの窓口に相談してしまい、そこで数日止まった」という詰まり方は非常によくあります。最初から事業系の経路で動いてください。
処分の選択肢そのものは厨房機器の処分方法にまとめています。
東京で動かすときの、実務上の順番
東京23区でも多摩地域でも、実務の順番はほぼ同じです。
1. 売れるものと売れないものを分ける ── ここを飛ばすと、売れるはずの機器に処分費を払うことになります 2. 売れるものを先に引き取ってもらう 3. 残ったものを、許可のある業者に処理してもらう 4. 搬出経路と作業日を、明け渡し日から逆算して押さえる
費用が最も膨らむのは、1と2を飛ばして「全部まとめて処分」にした場合です。 買取の相場観は厨房機器の買取相場、査定が下がる要因は査定額を下げる要因にまとめました。
順番については明け渡しと買取をどの順でやるかが実務に近い形で整理してあります。
冷蔵庫・冷凍庫・エアコンは、別の手続きが要ることがあります
ここが東京に限らず最も見落とされる部分です。
業務用の冷蔵・冷凍機器、業務用エアコン
冷媒にフロン類を使っている業務用の冷凍空調機器は、廃棄するときにフロン類を回収する必要があります。
- 廃棄する側(=店舗側)が、登録を受けた業者へ引き渡す形になります
- 書面(行程管理票)でのやり取りが求められます
- これはリサイクル料金の話ではなく、法令上の手続きです
「解体業者がまとめて持っていってくれる」で済ませないでください。 誰がフロン類を回収したのかが書面で残っていないと、後から問題になり得ます。依頼先に、フロン類の回収をどう扱うかを必ず確認してください<span>(対象になる機器かどうかの判断は、機器の銘板や取扱業者に確認を)</span>。
家電リサイクル法との違い
家電リサイクル法の対象は、家庭用のエアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機です。
業務用の機器は、この制度の対象ではありません。 「家電リサイクル券を買えばいい」と考えると、そこで止まります。業務用は、上に書いた事業系の経路とフロン類の手続きで進みます。
ただし、店舗の休憩室にあった家庭用の冷蔵庫や洗濯機は、家庭用製品として別扱いになることがあります。 店内のものを一律に扱わず、家庭用と業務用を分けて数えてください。
業者に依頼する前に確かめる3つ
「回収します」と言う業者はいくらでも見つかります。確かめるべきは次の3点です。
① 許可を持っているか
産業廃棄物の収集運搬には、都道府県などの許可が必要です。 東京都内で運ぶなら東京都の許可、他県へ運ぶならその県の許可も関わります。
許可番号を出してもらい、自治体の公表情報と照合してください。 許可のない業者に渡すと、排出した側の責任が問われることがあります。
② マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付してくれるか
産業廃棄物を処理業者に委託するときは、排出事業者がマニフェストを交付し、処理が終わった後に返送される控えを保管します。
「うちは要りません」と言う業者には渡さないでください。 ここは費用の問題ではなく、処理が本当に行われたことを証明する唯一の記録です。
③ 買取と処分のどちらで見ているか
同じ業者に「買取」と「処分」を両方お願いすると、内訳が見えなくなることがあります。
買取額と処分費を、必ず別々に出してもらってください。 「相殺してこの金額です」だけの見積書は比較ができません。業者の性格の違いは閉店で使うリサイクル業者と廃棄業者の違いにまとめています。
選び方の全体像は買取業者の選び方を参考にしてください。
東京特有の、時間の読み方
設備そのものより、搬出の段取りで日程が伸びます。
- ビルインの店舗では、共用部の養生、エレベーターの使用時間、搬出可能な曜日と時間帯が管理会社の指定になることがあります
- 繁華街の路面店では、トラックを停められる時間が限られます
- 地下の店舗では、階段からの搬出になり、人数と時間が変わります
この条件は物件ごとに違い、しかも管理会社への確認に数日かかります。 見積もりを取る前に、搬出条件だけ先に管理会社へ聞いておくと、日程が読めるようになります。 詳しくは厨房機器の搬出経路にまとめました。
よくある質問
Q. 数点だけです。それでも産業廃棄物になりますか。
A. 量ではなく、事業から出たものかどうかで決まります。 1点でも扱いは同じです。少量であれば、買取業者が引き取りのついでに対応できる場合があるので、まず相談してみてください。
Q. 自分で運んで処分場に持ち込めますか。
A. 自社の廃棄物を自分で運ぶことは可能な場合がありますが、持ち込み先が受け入れているかは施設によります。 事前に受入条件と品目を確認してください。代わりに他人の廃棄物を運ぶと許可が必要になります。
Q. 居抜きで次の借り手が決まりそうです。処分は待つべきですか。
A. 待ってください。 居抜きで引き継げば、処分費も撤去費もかかりません。先に処分してしまうと、この選択肢が消えます。 どちらが得かの比べ方は居抜きと原状回復はどちらが得か、造作の譲渡については居抜き売却と造作譲渡にまとめています。
Q. 廃棄物の書類は、いつまで保管しますか。
A. 法令で保管期間が定められています。 廃業後も一定期間は手元に残す必要があるため、閉店の書類一式と一緒にまとめて保管してください<span>(期間や様式は所管の窓口でご確認ください)</span>。廃棄物全般の扱いは閉店時の廃棄物処分にまとめています。
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まとめ
- 店舗の厨房機器は家庭ごみ・粗大ごみでは出せない。事業から出た廃棄物として扱われる
- 業務用の冷蔵庫・エアコンはフロン類の回収手続きが別途必要。家電リサイクル法の対象ではない
- 依頼前に確かめるのは①許可 ②マニフェスト ③買取と処分を分けた見積もりの3つ
- 東京では搬出条件(ビル・時間帯・階数)で日程が伸びる。管理会社への確認を先に
- 居抜きの可能性が残っているなら、処分は待つ
本サイトは閉店・撤退を検討する飲食店の方向けの情報メディアです。当サイトが買取や処分を行うものではありません。 実際の手続きや金額は、許可を持つ買取業者・廃棄物処理業者、および所管の自治体窓口にご確認ください。
閉店全体の段取りは閉店手続きのチェックリストにまとめています。

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