パン屋を閉めるとき、一般の飲食店と違うのは、残る機械の種類です。デッキオーブン、ミキサー、ホイロ(発酵室)、ドウコンディショナー、冷蔵ショーケース、それに天板や食パン型などの小物。どれも重く、電源やガスにつながり、冷やす機械には冷媒が入っています。
この記事は、パン屋の店主が廃業を決めたあと、買取の査定を頼む前に、機械を4つに分けて確かめることを整理します。機器ごとの買取額は、状態・年式・地域で大きく変わるため書いていません。金額は見積もりで確かめてください。
先に結論
- 製パン機器は、①電源とガス ②冷媒(フロン) ③床・壁への固定 ④天板・型などの小物の4つに分けて確かめると、査定と撤去の段取りが決まる
- 冷やす機械(ドウコン・冷蔵ショーケースなど)で、業務用かつフロン類が入っているものは、捨てるときにフロンの回収が必要
- 壁や分電盤側の配線を外す作業は電気工事士の仕事。機械の端子やコンセントを外すだけなら資格の要らない作業もある
- パンを作る営業は、食品衛生法施行令で菓子製造業の許可。イートインなどで飲食店営業の許可も持っていれば、持っている許可をすべて保健所に伝える
- リース・レンタルの機械は自分の物ではない。査定に出す前に契約を確かめる
① 電源とガス|オーブンは「何でつないでいるか」を最初に見る
パン屋の機械でいちばん大きいのはオーブンです。電気式かガス式か、電気なら単相か三相か、ガスなら都市ガスかLPガスか。これが分からないと、買い手(次に使う人)が使えるかどうかが決まりません。
確かめるのは、機械の側面や背面にある銘板(ラベル)です。
| 銘板で見る項目 | なぜ要るか |
|---|---|
| メーカー・型式・製造年 | 査定でまず聞かれる |
| 電源(単相100V/単相200V/三相200V)・消費電力 | 次の店の電気容量で使えるかが決まる |
| ガスの種類(都市ガスの区分/LPガス) | ガスの種類が違うと、そのままでは使えない |
| 外寸・重さ | 搬出できるか、運ぶ車が決まる |
ガスで動く機械の片付け(ガス栓・ガスの種類と買い手)は業務用のガスレンジ・フライヤー・ゆで麺機を閉店で売るときにまとめています。オーブンも同じ考え方です。
電気の切り離しは、壁や分電盤側の配線の処理なら電気工事士の作業です。一方、電気工事士法施行令第1条は、600V以下で使う差込み接続器などにコードをつなぐ工事(第1号)や、600V以下で使う電気機器の端子に電線をねじ止めする工事(第2号)を「軽微な工事」としています。どこまでが誰の作業かは、買取業者・撤去業者の見積もりに入っているかで確かめてください。
② 冷媒(フロン)|冷やす機械は、捨てるときに回収が要る
パン屋には、冷やす機械が多くあります。生地を冷やして発酵を管理するドウコンディショナー、冷蔵ショーケース、リーチイン冷蔵庫・冷凍庫などです。
フロン排出抑制法は、業務用の冷蔵機器・冷凍機器・エアコンで、冷媒としてフロン類が入っているものを「第一種特定製品」としています(第2条第3項)。これを廃棄するときは、フロンの回収が必要です。
- まず銘板の冷媒の欄(R404A・R410A などの表記)を見る
- 売れれば、機械ごと次の持ち主に移る
- 売れずに捨てる場合は、フロンを回収してから処分する。回収の証明は充塡回収業者が交付する引取証明書
回収の流れと残す書類は業務用の冷蔵庫・製氷機は、捨てる前にフロンの回収が要りますを見てください。
③ 床・壁への固定|外す作業は誰がするのか
ミキサーやオーブンは重く、店によっては床にボルトで留めていたり、オーブンの上に排気のフードやダクトがつながっていたりします。
- 床に固定している機械は、ボルトを外す作業が見積もりに入っているかを確かめる
- オーブンのフード・ダクトは、機械の買取とは別に、原状回復の工事として扱われることがある。どちらの業者の担当かを先に分ける
- 入口・通路・エレベーターの幅に対して、機械が出せるかを測っておく
ダクトが原状回復の見積もりを押し上げる理由は原状回復の見積もりが想定より跳ねるのは、たいてい設備です、搬出で止まる典型は厨房機器は「売れるか」より先に「出せるか」にまとめています。
④ 天板・型・ばんじゅう|小物は「数」と「まとめ方」を数えておく
パン屋には、天板、食パン型、ケーキ型、ばんじゅう(パンケース)、ラック、トレーなど、同じ物が何十枚もあります。
- 種類ごとに枚数を数え、サイズを書き出しておく
- 大きな機械とまとめて査定に出すか、別に扱うかを業者に聞く
- 汚れ・焦げ・変形がひどいものは、値が付くもの/処分するものを分けておく
何が売れて何が売れないかの考え方は閉店するとき、何が売れて何が売れないのか、査定の前に用意する情報は厨房機器の査定を頼む前に、自分で用意しておく5つの情報を見てください。
自分の物かどうか|リース・レンタルの機械は査定に出せない
オーブンやショーケースをリースやレンタルで入れている場合、その機械は自分の物ではありません。勝手に売ることはできず、残債や返却の扱いは契約で決まります。
- 契約書・請求書で、リース会社の名前と対象の機械を確かめる
- 査定を頼むときは、自分の物だけを一覧にする
リース中の機械の扱いは閉店するときリース中の厨房機器はどうなる?にまとめています。
許可と届出|パン屋は「菓子製造業」
食品衛生法施行令第35条第11号は、菓子製造業を次のように定めています。
菓子製造業(菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
パンを作って売る店は、ふつうこの菓子製造業の許可を持っています。イートインで飲み物や調理した物を出しているなら、飲食店営業の許可も持っていることがあります。
閉めるときは、持っている許可をすべて確かめて、管轄の保健所に廃業の届出をします。期限や様式は自治体で違うので、保健所に確かめてください。届出全体の流れは飲食店を閉めるときの届出はどこへ出す?を見てください。
小麦粉・油脂・酵母などの原材料の在庫の片付けは、飲食店の在庫・食材・酒類の処分方法が参考になります。
順番の目安
- 機械の一覧を作る(銘板を撮る・リースかどうかを分ける)
- 冷やす機械の冷媒、オーブンの電源・ガスを書き出す
- 閉店を公表する前に査定を取る(順番は閉店時の買取は「査定は公表の前、引き取りは伝えた後」)
- 引き取り日を決め、電気・ガスの切り離しとダクトの工事を、誰がするかを分ける
- 保健所に廃業の届出
よくある質問
古いオーブンでも買い取ってもらえますか
年式・状態・電源やガスの種類・地域で変わるので、一概には言えません。銘板の写真と寸法をそろえて、複数の業者に見積もりを頼むのが確実です。
ドウコンディショナーは、ふつうの冷蔵庫と同じ扱いですか
業務用で冷媒にフロン類が入っていれば、フロン排出抑制法の第一種特定製品で、捨てるときにはフロンの回収が要ります。売れれば機械ごと次の持ち主に移ります。
天板や型だけでも引き取ってもらえますか
業者によって扱いが違います。大きな機械とまとめて見てもらえるか、先に聞いてください。
まとめ
- 製パン機器は、電源とガス・冷媒・固定・小物の4つに分けて確かめる
- 冷やす業務用機器でフロン類が入っているものは、捨てるときにフロンの回収が要る
- リース・レンタルの機械は自分の物ではない。査定に出す前に契約を確かめる
- パン屋は菓子製造業。持っている許可をすべて保健所に伝える
閉店で残る製パン機器・什器は、処分する前に買取の見積もりを取ると、処分費を減らせることがあります。当サイトでは、提携先へのお取次ぎでご相談を受け付けています。
※ 条文は2026年10月21日に e-Gov 法令検索で確認しました(食品衛生法施行令・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律・電気工事士法施行令)。法令や手続きは改正されることがあります。最新の内容は所管の行政機関・専門家にご確認ください。
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