閉店の片付けで、最後まで棚に残りやすいのが寸胴鍋や片手鍋、バット、ボウル、ザルといった小物の金物です。冷蔵庫やガスレンジのような大物とちがい、1つずつの値段は小さく、そのぶん数が多い。厨房の奥からまとめて出てくると、「売れるのか、ただの鉄くずなのか」が分からず手が止まります。
この記事では、閉店で残る鍋・調理道具を、「中古の調理道具として売る」か「アルミ・ステンレスの金属として引き取ってもらう」かの2つの出口に分けて考えます。そのうえで、まとめて出すときの数え方・洗い方・仕分けと、業者に確かめることを順に整理します。買取額や金属の単価は、日々動くうえ業者と地域で違うので書いていません。金額は見積もりで確かめてください。
この記事の要点
- 鍋・調理道具の出口は2つ。道具としてもう一度使われるか、金属の原料として溶かされるか
- 分かれ目は「次の店でそのまま使えるか」。形がゆがんでいない・底が焦げ付いていない・取っ手がぐらつかない物は、道具として見てもらえる余地がある
- 道具として出すなら、サイズ(直径・深さ)ごとに数を数え、洗って乾かしてから見せる
- 金属として出すなら、アルミとステンレス(鉄)を分け、取っ手の樹脂など金属でない部分を確かめる
- 売れずに捨てる金物は、店の営業で出た物なら産業廃棄物(金属くず)。処理を委託するときは、店がマニフェストを交付する
分かれ目は「次の店でそのまま使えるか」
同じ寸胴鍋でも、どちらの出口に向くかは状態で変わります。おおまかな目安は次のとおりです。
| 見るところ | 道具として見てもらいやすい | 金属として出すことが多い |
|---|---|---|
| 形 | へこみ・ゆがみが小さく、ふたが合う | 大きくへこんでいる、口が楕円にゆがんでいる |
| 底 | 焦げ付きが洗えば落ちる、平らに置ける | 焦げが層になって落ちない、底が反ってがたつく |
| 取っ手・ふた | ぐらつかない、ふたがそろっている | 取っ手が外れている、ふたがない |
| 数 | 同じ型・サイズが何個かそろっている | 型がばらばらで1個ずつ |
| 刻印 | メーカー名やサイズの刻印が読める | 刻印がすり減って分からない |
表は目安で、業者によって見方は違います。「道具としては無理でも、金属としてなら引き取れる」という答えが返ることもあるので、1つの業者で値が付かなくても、すぐに捨てる側に回さないことが大事です。
なお、何が売れて何が売れないかの全体像は閉店するとき、何が売れて何が売れないのかにまとめています。
道具として売るとき|買い手は「これから店を開く人」
中古の寸胴や鍋を探しているのは、主にこれから店を始める人や、道具を買い足したい店です。新品をそろえると数がかさむ道具なので、中古で状態のよい物を探す需要があります(居抜き・中古厨房機器で開業費用を抑えるは、その買い手側から見た記事です)。
買い手が知りたいのは、サイズ・素材・数・状態の4つです。
- サイズ:寸胴は直径と深さ(cm)、片手鍋・両手鍋は直径、バットは寸法。刻印に書かれていることもある
- 素材:アルミか、ステンレスか、銅か、鉄(フライパン・中華鍋など)か
- 数:同じサイズがいくつあるか。ふたの数も
- 状態:へこみ・焦げ・取っ手のぐらつきの有無
中古品を買い取って売る事業者は、古物営業法第3条にもとづき都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。見積もりを頼むときは、許可番号と許可を出した公安委員会を確かめておくと安心です。業者の選び方全体は閉店時の買取業者はどう選ぶかを見てください。
金属として引き取ってもらうとき|素材で分けると話が早い
道具としての値が付かない鍋でも、アルミやステンレスの金属として引き取る業者があります。この場合、業者が見ているのは形や数ではなく、どの金属が、どれだけの重さあるかです。
金属として出すときに確かめることは次の3つです。
- 素材を分ける:アルミ(軽い・やわらかい)と、ステンレスや鉄(重い・硬い)を別の山にする。見分けがつかないときは、業者に見てもらう
- 金属でない部分:取っ手やつまみが樹脂や木の物、フライパンの表面加工など。外すよう求められるか、そのまま引き取るかは業者によって違う
- 汚れ:油や焦げがひどい物を、そのまま受け付けるかどうか
金属の値段は相場で日々動くため、「いつの値段で計算するか」も見積もりのときに聞いておくと、引き取り日にずれて驚くことが減ります。
売れずに捨てる金物は「産業廃棄物」になる
道具としても金属としても引き取り手がなく、お金を払って処分することになった金物はどうなるか。
廃棄物処理法は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、政令で定める種類を産業廃棄物としています(第2条第4項第1号)。政令(廃棄物処理法施行令第2条第6号)には「金属くず」が業種の限定なく挙がっています。つまり、店の営業で使っていた鍋・調理道具を捨てる場合は産業廃棄物(金属くず)として扱います。樹脂の取っ手などは廃プラスチック類です。家庭ごみの日に出すことはできません。
産業廃棄物の処理を業者に委託するときは、排出事業者である店の側が、委託先にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、写しを保存します(廃棄物処理法第12条の3)。業者に確かめるのは「マニフェストでの委託に応じてもらえるか」です。区分の考え方と頼み方は飲食店の閉店で出る廃棄物の処分、売れなかった機器の出口全体は厨房機器の処分方法は4つしかないにまとめています。
まとめて出す前に|数える
小物の金物は、見積もりを頼む前に数を書き出しておくと、電話や写真だけでも話が進みます。
- 種類ごとに山を分ける(寸胴・片手鍋・両手鍋・フライパン・中華鍋・バット・ボウル・ザル・おたまなどの小物)
- 寸胴と鍋はサイズごとに数える。ふたの数も別に数える
- バット・ボウル・ザルは、重ねておおよその数でよい
- 状態のよい物と、へこみ・焦げのある物を分けておく
- 素材が分かる物は、アルミ・ステンレス・銅・鉄を書き添える
書き出す表は、たとえば次の形で十分です。
| 種類 | サイズ | 数(ふた) | 素材 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 寸胴鍋 | 直径30cm | 3(ふた2) | アルミ | 1つ底に焦げ |
| 片手鍋 | 直径18cm | 5 | ステンレス | よい |
| バット | (大きさを書く) | 約20 | ステンレス | よい |
写真は、山ごとに全体を1枚、状態のよい物を1つ取り出して1枚、刻印を1枚撮っておくと、査定が早くなります。撮り方の全体は買取を頼む前に撮っておく写真10カットを見てください。
洗う|道具として見せるなら、油と水気を残さない
道具として売るつもりの物は、洗って、乾かしてから見せます。油が残ったまま重ねて置くと、においやべたつきで状態が悪く見えやすくなります。
- 油汚れを落とし、水気を拭き取ってよく乾かす(重ねて置くと、乾ききっていない部分が残りやすい)
- 焦げは、落ちる範囲で落とす。無理に削って傷を増やさない
- ふたと本体を組にしておく
- 金属として出す物は、ここまで洗わなくてよいかを業者に聞く(汚れの程度で受け付けるかが変わることがある)
閉店の直前は洗い物の手が回らないことが多いので、最後の営業より前に、使わなくなった鍋から先に洗って箱に詰めておくと、引き取り日に慌てずに済みます。
分ける|食器・ガラスとは別の山にする
厨房の片付けでは、鍋と一緒に食器やグラスも出てきます。ですが、陶磁器やガラスは金物とは値の付き方も、捨てるときの区分も違います(陶磁器くず・ガラスくずは施行令第2条第7号で別の種類です)。
- 金物の山:鍋・調理道具(さらに道具向きと金属向きに分ける)
- 食器・グラスの山:器・グラス・カトラリー(閉店した飲食店の食器・グラスはどうする?)
- 機器の山:ガスレンジ・フライヤーなど、ガスや電気につながっていた物(業務用のガスレンジ・フライヤー・ゆで麺機を閉店で売るとき)
山を分けておくと、業者ごとに得意な物を見てもらえ、見積もりを比べやすくなります。
業者に確かめること
見積もりを頼むときは、次のことを聞いておくと、当日の行き違いが減ります。
- 鍋・調理道具を、道具として買い取るのか、金属として引き取るのか(両方の業者もある)
- 値が付かなかった物を、無料で引き取るのか、処分費がかかるのか
- 処分費がかかる場合、マニフェストでの委託に応じるか
- 大物の厨房機器とまとめて見積もってもらえるか、別々か
- 中古品として買い取る場合は、古物営業の許可番号
よくある質問
へこんだ寸胴鍋でも、買い取ってもらえますか
道具としては値が付きにくくなりますが、アルミやステンレスの金属として引き取る業者があります。1つの業者で断られても、金属として見てもらえないか別に聞いてみてください。
鍋1つ・2つだけでも頼めますか
業者によって違います。小物だけだと出張の対象にならないこともあるので、大物の厨房機器と一緒に見積もりを頼むか、持ち込みができるかを聞くのが確実です。
家庭ごみに出してもよいですか
店の営業で使っていた鍋・調理道具は、捨てるなら産業廃棄物(金属くず)にあたるため、家庭ごみには出せません。処分する場合は、産業廃棄物の許可を持つ業者に委託し、店がマニフェストを交付します。
まとめ
- 鍋・調理道具は、道具として売るか金属として引き取ってもらうかの2つの出口で考える
- 分かれ目は「次の店でそのまま使えるか」。値が付かなくても、すぐ捨てる側に回さない
- 道具として出すなら、サイズごとに数え、洗って乾かしてから見せる
- 金属として出すなら、アルミとステンレス(鉄)を分け、金属でない部分を確かめる
- 捨てる金物は産業廃棄物(金属くず)。委託するときは店がマニフェストを交付する
閉店で残る鍋・調理道具は、厨房機器や什器と一緒に見積もりを取ると、処分費を減らせることがあります。当サイトでは、提携先へのお取次ぎでご相談を受け付けています。
※ 条文は2026年10月23日に e-Gov 法令検索で確認しました(廃棄物の処理及び清掃に関する法律・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令・古物営業法)。法令や手続きは改正されることがあります。最新の内容は所管の行政機関・専門家にご確認ください。
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