閉店が決まると、「業者の買取額は安すぎる。自分で売れば倍になるのでは」と考える方は少なくありません。フリマアプリ、地域の掲示板、同業の知人。実際、中古の厨房機器を探している開業希望者は多く、個人に直接譲るほうが単価が高くなることはあります。
ただ、閉店の個人売買には、ふだんの不用品の売り買いには無い条件が1つ付きます。
「明け渡し日までに、店から出ていなければならない」という締め切りです。
売れ残った機器は、その日を過ぎた瞬間に残置物=撤去費用のかかるものに変わります。この記事では、個人売買に回してよい機器とそうでない機器の分け方と、売る前に決めておかないと当日揉める5つをまとめます。
結論:個人売買は「全部」ではなく「一部」に使う
| 個人売買(フリマ・掲示板・知人) | 買取業者に一括で出す | |
|---|---|---|
| 1点あたりの手取り | 高くなりやすい | 低めになりやすい |
| 売れるまでの時間 | 読めない(数日〜売れないまま) | 見積もりから引き取りまで日程が組める |
| 取り外し・運び出し | 原則、売る側と買う側で段取りする | 業者側の作業に含まれることが多い |
| 売れ残ったとき | 自分で次の出口を探す | 同じ業者が引き取り・処分を案内することがある |
| 引き渡し後のトラブル | 当事者どうしで解決する | 業者との契約条件に従う |
個人売買が向いているのは、「小さく・軽く・電源を抜けば外せる」機器を、締め切りまで余裕があるうちに出すときです。 大型の冷蔵設備やガス機器、造作に組み込まれた設備までそこに載せると、締め切りに間に合わなかったときの損がまとめて返ってきます。
手取りで比べる方法は買取と処分の見積もりを1枚で比べるに書きました。個人売買の「売値」は、そこから手間と運搬費と売れ残りのリスクを引いた数字で比べてください。
個人売買に回してよい機器・回さないほうがいい機器
分ける基準は値段ではなく、「誰が、どうやって店から出すか」です。
回しやすいもの
- 卓上の調理家電(電子レンジ・炊飯器・保温ジャー・ミキサー類)
- 小型のコールドショーケースなど、コンセントを抜けば外せるもの
- 調理小物・鍋・食器(ただし数が多いと手間が跳ねます)
- 客席の椅子など、1人で運べるもの
回さないほうがいいもの
- ガス機器(コンロ・フライヤー・炊飯器のガス式など)。ガス栓からの取り外しは自分でせず、ガス会社または専門の業者に頼むものです。買う側に「外して持っていってください」とは頼めません
- 業務用の冷蔵庫・冷凍庫・製氷機のうち大型のもの。重量があり、搬出経路で止まることがあります。捨てる側に回る場合はフロンの回収が関わります(業務用の冷蔵庫・製氷機とフロン回収)
- 給排水や排気ダクトにつながっている設備(食洗機・シンク・フード)。外すと工事になり、原状回復の範囲と重なります
- リース・割賦の機器。自分のものではないので、そもそも売れません(リース中の厨房機器はどうなるか)
🚨 リースの確認は、出品より先です。 出品して買い手がついたあとに「リースだった」と分かると、取り消しの連絡から始めることになります。
売る前に決めておく5つ
個人売買で揉めるのは、ほぼ例外なく「値段が決まったあと」です。値段交渉より先に、次の5つを文面で決めてください。
1. 引き取りの期限(明け渡し日の何日前か)
「明け渡し日」ではなく、その数日前を期限にします。 当日は原状回復や一括撤去の作業が入ることが多く、個人の引き取りと重なると作業が止まります。引き渡しまでの段取りは明け渡しまでに買取をどの順番で入れるかを参照してください。
2. 取り外しと運び出しを誰がやるか
「取りに来てください」だけで済むのは、コンセントを抜けば動かせる機器だけです。 それ以外は、
- 取り外しの作業を誰が手配し、費用を誰が持つか
- 何人で、どの車両で来るか
- 建物の搬出ルール(共用部の養生・エレベーターの使用予約・作業できる時間帯)
を先に決めます。搬出経路で止まる典型は厨房機器は「売れるか」より先に「出せるか」にまとめました。買う側が当日に初めて建物を見て「運べない」となれば、その機器はそのまま店に残ります。
3. 引き渡すときの状態
「現状のまま・動作の保証なし」で渡すのか、「動作確認済み」とうたうのかを決め、やりとりの文面に残します。
- 通電・冷却・加熱の動作を、引き渡し前に買う側に見てもらうのがいちばん確実です
- 製造年・型番・不具合があれば先に書く(銘板の写真を撮っておくと早い)
写真の撮り方は買取を頼む前に撮っておく写真10カットがそのまま使えます。業者向けの写真と、個人の買い手に見せる写真は同じもので足ります。
4. お金の受け取り方とタイミング
機器を運び出す前に代金を受け取れる形にしておきます。 運び出したあとで支払いが止まると、店を閉めたあとの売り手には追いかける手段がほとんど残りません。フリマアプリなら仕組みの中で決済できますが、掲示板や知人とのやりとりでは自分で決めておく必要があります。
5. 売れなかったときの次の出口と、その期限
「いつまでに売れなければ業者に回すか」を、出品した日に決めておきます。 これが無いまま値下げを繰り返すと、締め切り直前に業者へ頼もうとしても日程が取れません。
目安として、明け渡し日から逆算して買取の見積もりを取る日を先に押さえ、それより前を個人売買の期間にしてください。全体の日程の組み方は引き渡し日から逆算するスケジュールにあります。
知人の開業者に「まとめて」譲る場合
同業の知人や、これから店を始める人に機器をまとめて譲る話が出ることもあります。1点ずつ売るより手間が少なく、機器にとってもいちばん無駄のない出口です。
ただし、設備ごと・内装ごと引き継いでもらう話になった時点で、それは個人売買ではなく「居抜き」の話です。 貸主の承諾や造作の扱いが関わってくるため、居抜き売却と造作譲渡と居抜きで引き継ぐ人の探し方を先に読んでください。「知人だから口約束で」が、いちばん後で困る形です。
よくある質問
Q. 個人売買と買取業者、どちらを先に動かせばいいですか。 A. 並行で動かし、買取の見積もりを先に取っておくのが安全です。 見積もりがあれば、個人売買で「この値段以下なら業者に回す」という下限が決まります。見積もりは、個人売買で売れた機器を後から外してもらえるかどうかも含めて確認してください。
Q. 業者の見積もりに入れた機器を、あとから個人に売ってもいいですか。 A. 見積もりの段階なら、外してもらえるのが一般的です。 ただし一括の見積もりは、売れる機器の値段で処分費を相殺していることがあります。売れる機器だけ抜くと、残りの処分費が上がることがあるので、抜く前に金額を出し直してもらってください。
Q. フリマアプリで大型の機器を送ることはできますか。 A. 大型・重量物は配送の手配そのものが難しく、送料が売値を上回ることがあります。 大型の機器は、近くの人に取りに来てもらう前提で考えたほうが現実的です。
Q. 売れ残った機器はどうなりますか。 A. 明け渡し日までに、買取・引き取り・処分のどれかに回す必要があります。 出口は厨房機器の処分方法は4つしかないで整理しています。締め切りを過ぎると残置物として扱われ、撤去費用がかかるのが通常です。
まとめ
- 閉店の個人売買には「明け渡し日」という締め切りがある。売れ残りは残置物になる
- 個人売買に向くのは小さく・軽く・電源を抜けば外せる機器。ガス機器・大型冷蔵設備・給排水につながる設備・リース機器は回さない
- 値段より先に①引き取り期限 ②取り外しと運び出しの担当 ③引き渡しの状態 ④代金の受け取り ⑤売れ残ったときの期限を文面で決める
- 買取の見積もりを先に取り、それを下限にする。 個人売買はその上に乗せる
- 設備ごと引き継ぐ話になったら、それは居抜き。貸主の承諾が関わる
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本記事は閉店時の厨房機器の売却について一般的な流れを整理したものです(確認日:2026-09-10)。 建物の条件・契約内容・機器の種類によって扱いは異なります。当サイトは閉店に関する情報提供と、買取・処分を行う事業者のご案内を行うメディアです。 ガス機器の取り外し、リース契約の扱い、居抜きの承諾などは、それぞれガス会社・リース会社・貸主にご確認ください。

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