閉店しても償却資産税の通知は来る?|1月1日に持っていた厨房機器・内装の申告と、閉店後の「全品減少」

閉店して、店の鍵も返した。ところが翌年の6月ごろ、「固定資産税(償却資産)」の納税通知書が届いた。あるいは、1月に「償却資産申告書」の用紙が届いたが、もう店は無いので放っている。

償却資産の税金は、店を閉めた日ではなく、毎年1月1日に何を持っていたかで決まる仕組みです。この記事では、閉店する店の側で何が課税の対象になり、いつ申告をやめられるのかを、東京都主税局の案内をもとに整理します。

先に要点を表にします。

確かめること中身根拠
誰が納めるか毎年1月1日(賦課期日)現在の償却資産の所有者東京都主税局 償却資産申告のページ
申告の期限毎年1月31日まで。資産のある区の都税事務所へ(東京23区の場合)同上
課税されない場合課税標準額が150万円未満(免税点)同上
全部手放した後翌年1月に「全品減少」の申告。廃業日を備考欄に書く同上
申告しないと正当な理由がなければ過料を科されることがある同上(地方税法第386条)

償却資産とは、店のどれが当たるのか

東京都主税局は、償却資産を、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額が法人税法または所得税法の規定による所得の計算上、損金または必要な経費に算入されるもの、と説明しています。法人の店も、個人事業の店も同じ定義です。

都のページが挙げる例は、次のとおりです。

  • 構築物:看板、内装・内部造作、その他建築設備など
  • 工具・備品:パソコン、陳列ケースなど
  • 機械・装置:製造設備など

東京都の「業種別の資産例」では、料理飲食店業の例として、テーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器などが挙げられています。事業で使っていて、帳簿の上で減価償却している器具備品・機械装置は、この定義に当てはまる考え方になります。個々の資産が償却資産にあたるのか、建物に含まれる「家屋」にあたるのかは、都の「償却資産と家屋の区分表」や各自治体の申告の手引きで確かめてください。

テナントが付けた内装・造作も申告の対象

借りた物件に、自分の費用で内装や造作、建築設備(厨房のダクトなど)を付けた店は多いはずです。都のページは、「テナント等が取り付けた事業用の内装・造作及び建築設備等については、償却資産として申告の対象となります」とし、テナント側が所有者として申告するとしています。

閉店で原状回復をして内装を撤去すると、その分の資産は無くなります。撤去の範囲は契約で決まるので、何を壊して何を残すかは原状回復の範囲で確認してください。

「1月1日に持っていたか」で決まる

課税の基準になる日は1月1日です。都のページは、納税義務者を「毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋又は償却資産の所有者」としています。

東京都主税局のよくある質問には、土地・家屋について「3月に売却した場合は、買主ではなく1月1日に所有している売主に課税されます」という回答があります。償却資産も、1月1日現在の所有で申告するとされていますから、同じ考え方で見ておくと安全です。自分の店のケースが当てはまるかは、資産のある自治体に確かめてください。

閉店の時期と、課税の関係を表にします。

閉店・処分の時期起きること(考え方)
ある年の1月1日より後に閉店し、設備を売却・廃棄したその年の1月1日には持っていたので、その年度分の課税は残る。納税通知書は、都の令和8年度の例では6月1日に発送された
設備を12月31日までに全部手放した翌年の1月1日には持っていない。翌年1月に「全品減少」の申告をする
閉店したが、設備が倉庫や店に残っている翌年の1月1日にも持っているなら、申告の対象が続く

都の令和8年度の例では、償却資産の納税通知書は6月1日に発送され、納期限は第1期6月30日、第2期9月30日、第3期12月28日、第4期が令和9年3月1日でした。つまり、秋に閉店しても、その年の12月と翌年3月の納期が残る場合があります。納期は自治体と年度で変わるので、通知書の実物で確かめてください。

全部手放したら「全品減少」を出す

都のページは、前年中に廃業などで資産がすべてなくなった場合について、次のように案内しています。

  • 直近まで申告していた都税事務所へ、全品減少の申告をする
  • 申告書の右下の「18 備考」欄に、廃業日(移転日)などを書く

用紙が届いたときに「もう店が無いから不要」と放っておくと、自治体の側では「まだ持っているのか、手放したのか」がわからないままになります。手放した事実を申告で知らせることが、翌年以降の通知書を止める手順です。

なお、都のページは、正当な理由なく申告をしなかった場合に、地方税法第386条と東京都都税条例第137条にもとづき過料を科されることがあるとしています。

申告の窓口は、資産のある場所の自治体

東京23区では、資産のある区の都税事務所が窓口です。複数の区に資産がある人は、区ごとに1通ずつ出します。電子申告(eLTAX)も使えます。東京23区以外の市町村は、窓口・様式・期限を、資産がある市町村の案内で確かめてください。この記事では確認できていません。

少額の資産と、確定申告との違い

少額の資産

都のページによると、次の資産は申告が不要です。

  • 取得価額10万円未満で、一時に償却(全額を経費に)した資産
  • 取得価額20万円未満で、3年で一括して償却する方法をとった資産

一方、個別に減価償却している少額の資産は、申告の対象です。どちらの処理をしたかは、確定申告・決算書の償却資産の明細で確かめられます。

国税の確定申告と、取扱いが違う

都のページは、税務上「建物一式」としてまとめて減価償却している場合でも、該当する資産を抜き出して申告する必要があるとしています。確定申告の資料を、そのまま写せばよいわけではありません。

なお、設備を売ったときの所得税・法人税・消費税は、償却資産の申告とは別の話です。個人事業の店と法人の店で扱いが違うので、閉店・廃業のときの税金で整理しています。

売却や廃棄の前に、残しておくもの

減少の申告では、「いつ・どの資産を手放したか」を説明することになります。設備を手放す前に、次の書類を残しておくと、あとで困りません(これは当サイトの実務上のおすすめで、法令上の決まりではありません)。

  • 買取の明細、売買契約書、引渡しの日が書かれたもの
  • 廃棄したときの領収書、処分の日がわかる書類
  • 最後の申告書の控えと、資産の一覧(取得年月・取得価額・耐用年数)

居抜きで造作や設備を次の人に譲る場合は、所有者が変わります。譲る側も譲り受ける側も、申告の内容が変わることがあるので、契約の前に自治体に相談してください。居抜きの考え方は居抜き売却と造作譲渡にあります。売る順番と日付の決め方は明け渡しまでに、買取をどの順番で入れるかが参考になります。

想定事例

以下は説明のための想定事例で、実在の店ではありません。

個人事業で営んできた店が、ある年の10月末に閉店を決めた。厨房機器は年内に売却し、内装は原状回復で撤去する。

  1. その年の1月1日には機器も内装も持っていた。その年度の償却資産税の納税通知書は、すでに届いている(都の令和8年度の例では6月1日発送)。納期が残っていれば、閉店後も納める
  2. 12月31日までに、機器の売却・内装の撤去・看板の撤去を済ませる。日付がわかる書類を取っておく
  3. 翌年1月、届いた申告書に「全品減少」を記載し、備考欄に廃業日を書いて、1月31日までに提出する
  4. 翌年6月に通知書が届かないことを確かめる

よくある質問

Q. 閉店して何も持っていません。申告書の用紙が届いたら出すべきですか。 A. 都の案内では、前年中にすべてなくなったときは全品減少の申告をするとされています。放置すると、自治体の台帳には資産が残ったままになります。自治体に電話で伝えるか、減少の申告をしてください。

Q. 設備は全部で数十万円分しかありません。申告は要りませんか。 A. 課税されるかどうか(免税点150万円)と、申告が要るかどうかは別の話です。都のQ&Aでも、申告書を出したのに納税通知書が届かない理由として免税点が挙げられています。金額が小さい場合も、自分で判断せず自治体に確かめてください。

Q. リース品の設備はどうなりますか。 A. リース契約の設備は、誰が申告するのかをこの記事では確認できていません。リース会社と自治体に確かめてください。リースの契約の扱いはリース設備の閉店時の扱いにあります。

まとめ

  • 償却資産の税金は、閉店日ではなく1月1日に持っていたかで決まる考え方
  • 店の厨房機器・看板・陳列ケース・テナントが付けた内装や造作が対象になりうる
  • 申告は毎年1月31日まで。課税標準額が150万円未満なら課税されない
  • 手放し終えたら、翌年1月に全品減少の申告。備考欄に廃業日を書く
  • 手放すときは、日付と相手がわかる書類を取っておく

出典(確認日:2026年10月11日)

本記事は確認日時点の東京都主税局の案内にもとづく一般的な整理です。申告の窓口・様式・納期は自治体で異なり、資産の分類や課税の有無は個々の店の状況で変わります。具体的な判断は、資産のある自治体の担当窓口、税理士などの専門家に確かめてください。

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